渡辺研究室は「情報デザイン」を旗印に下記のテーマに取り組んでいます.
調査研究手法としては,実験,インタビュー,フィールドワーク,主観評価,質的分析,質問紙などを組み合わせています.
渡辺ゼミでは上記のテーマに限らず,世の中の問題を解決して人々の生活を向上させようという意欲を持っている学生,熱心で積極的な学生を熱烈歓迎します.
3年次演習ではまず,感性ときづきの重要性を指摘し,情報デザインの基礎を主体的に学ぶ活動(勉強)をします.次に,人間活動を生のフィールドで観察し、観察結果を分析・モデル化して新たな発想を生み出し,発想に基づいてプロトタイプを作ってテストするミニプロジェクトを行い,発表してもらいます.これらの取り組みで見つけ出した問題意識が「他者の役に立つ」卒論やイノベーションにつながっていくのです.
授業以外に,NPO活動法人や企業(年度による)とのワークショップ,学外の研究者・企業の方・当事者が参加する研究会など,主体的に学ぶ機会を豊富に用意しています.
なべゼミの3年生は,3年次演習と並行して,「Webでの情報表現」, 「Webデザイン」,「ユニバーサルデザイン(人間中心設計)」,「デザイン思考I,II」も受講してください.「アプリ作成入門」と「WebプログラミングI,II」も受講するとプログラミングのスキルも身につきますよ! これらの授業で学んだことを3,4年次演習でも使います.
なべゼミでは「Playfulな学び」を提供したいと考えています.モノゴトに対してワクワクドキドキする学びです.子供時代には誰でもこのような夢中になる学びをしていたはずです.(傍観することなく)取り組んでみて,面白ければ夢中になれます.あの時代の知的好奇心やワクワクドキドキ感を再現しましょう.
そこで大事なのが,「Can I do?」ではなくて「How can I do?」な精神です.「わたしにこれができるかしら」と不安に思うのではなく,「どうすればこれに取り組めるだろうか?」と考えてください.世の中の見方を変える,自分の態度を変える,そういうチャレンジ精神がとても大事です.
Playfulな学びは「主体的で深い学び」(つまり active learning)につながります.講義を聴くだけではなく,自分で体験して,省察(振り返り,Reflection)することで体験を経験に昇華させます.学んだことを,知識ではなく経験として身に着けるのです.
ゼミでは協働を重視します.ゼミ生同士,ゼミ生と渡辺,ゼミと外部の人(研究者,企業の人,障害者,NPO,障害者を支援する人など),とのオープンなコラボレーションを促進させたいと思っています.意見を戦わせるのではなく,自分とは異なる他人の考えを聞いて,なぜそう思うのかを理解し,自分の考えと他人の考えの両方をもとにしたより高次元の考えを作り出していく,そういう協働作業を目指しています.そのためには他人に共感する態度や感性が大事です.自分一人ではできなくても,ゼミ仲間となら,先生や外部の協力者の指導と応援を仰げばできそうな気がしませんか.
なべゼミでは,ものつくりも重視しています.「プロトタイプ」を作って「テスト」します.過去の卒論を見てもらえばわかりますが,Webサイトを作ったり,アプリのプロトタイプを作ったり,日曜大工でゴミ箱を作ったり,3Dプリンタでコップを作ったりしています.自分の考えをアウトプットして見える化してほしいのです.
こうした活動は下記に示す「イノベーション」を生み出します.
3年次演習,そして4年次演習では,みなさんがPlayfulに学ぶことができる場,人,道具を用意して待っています.
なべゼミはオープンなイノベーションを目指しています.それができる人材は,企業をはじめとする現代社会が求めている人材でもあるので就職には困りませんよ.政府の教育改革でもこういう人材を生み出すことが求められています.それを学べるのがなべゼミです.
3年次の夏休みには,4年生と合同のゼミ合宿を行います.ゼミ合宿は4年生の卒論発表と3,4年生合同のワークショップが中心ですが,バーベキュー,スイカ割り,花火,早朝ランなどの遊びも満載です.(2020年度と2021年度はZOOMで2日間のオンラインゼミ合宿を行いました.2022年度は,ゼミ全体のゼミ合宿は大学の許可が出ずに断念しましたが,武蔵野美術大学の山崎研究室の院生と一緒に3年生6名が和歌山県すさみ町で5日間の合宿を開催しました.2023年度は斑尾高原での対面ゼミ合宿が復活しました.)
3年次演習の後半頃から卒論のテーマを考えます.各自3つのアイデアを考えて発表し,全員でブレイン・ストーミングして,そのアイデア(発想)をふくらませていきます.4年生前の春休みから関連研究を調べながら各アイデアを詳細化していき,卒論概要を完成させ,5月末に卒論題目を決定します.5月から7月にかけて予備調査や予備実験を行って,自分で立てた計画がうまくいくかどうかを確かめます.7月のUAI研究会で卒論紹介をしてもらい,他大学の先生方やユーザーの方々からご意見やアイデアをもらいます.4年次夏のゼミ合宿では,卒論概要を発展させる形で卒論の前半を完成させ,具体的な研究手法(実験?,調査?,??)を検討します.8月から10月にかけて必要な実験や調査をして,11月上旬に開催されるUAI研究会で卒論中間発表をします.11月下旬に卒論内部〆切を設けていて,提出された卒論を渡辺が添削します.添削を反映して提出版の卒論を完成させ,12月上旬に卒論提出になります.
なべゼミでは,他人の視点に立って世の中の問題点・解決すべき点を見つけ,少しでもそれを解決することに挑戦してほしいと思っています.
1年生の「コミュ概論II(情報デザイン)」の授業で,情報デザイン領域にはどのような就職があるのかと聞かれました.2年生も関心があると思うのでここにも書いておきます.端的に言えば,デザイン思考やUI/UXデザインの重要性が注目されている現代,あらゆる職種で情報デザインができる人材が求められています.情報デザインは一般化した言葉なので,就活で企業研究をするときには,「デザイン思考」や「UXデザイン」や「インタラクションデザイン」などの言葉で検索してみてください.たくさんの企業でこれらの職種を募集していることに驚くと思います.大手の企業でも中小規模の会社でもベンチャー系の企業でも情報デザイン人材を求めているのです.
デザインだけの能力で言うと,美大などデザインを専門に学ぶ大学にはかないませんが,君たちは「人間中心設計(デザイン)」の基本を学んでいます.更に,研究法の授業で統計解析(量的なデータ分析)や質的なデータ分析も学んでいます.プログラミングの授業もあります.ここが君たちの強みです.単なるデザイナーではなく,量的・質的なデータを科学的に調査分析する能力やプログラミングなどのものつくりをする能力を持った,人間(ユーザ)中心でデザインできる人材が君たちです.
なべゼミでも,大手や中小のコンサルティング会社,(Web)デザインの会社,大手や中小のIT企業・SIer,ベンチャーなど,ゼミでの学びを生かした就職をしている先輩がたくさんいますよ.ゼミ推薦で内定をもらえるICT系企業もあります.
「社会課題解決のための人間中心デザインの本棚」に皆さんに読んでほしい本がリストアップしてあります.「ゼミ課題図書」のタグが付いているのが,特に3年次の間に読んでほしい本です.
1998年までは物理学(原子核・素粒子実験)の研究に従事していて,ノーベル賞で有名な神岡鉱山の地下実験室で太陽を拝めない日々を送っていました.病気になったのが理由で東大物理学教室の助手を最後に物理学を辞め,1999年の秋から,日本の全盲の視覚障害者のための日英2ヶ国語音声化システムBilingual Emacspeak Platformの開発に取り組みました.この開発プロジェクトは2001年度IPA未踏ソフトウェア創造事業に採択され,ジャパニーズ英語とネイティブ英語の2種類の発音を自在に使い分けられるバイリンガルシステムが完成しました.
2003年後半からはUniversalなWeb利用に研究の主眼を移し,W3CのWCAG (Web Content Accessibility Guidelines)ワーキンググループに参加し,WebコンテンツのアクセシビリティガイドラインであるJIS X 8341-3:2010の策定ワーキンググループの主査や,WAIC(Webアクセシビリティ基盤委員会)の創設と初代委員長も務めました.今でもNPO活動法人JWAC(日本Webアクセシビリティ推進協会)の理事長を務めています.
2016年からは,情報デザインと人間中心設計を基本としたユーザビリティ,アクセシビリティ(特にWeb),ユニバーサルデザイン,UXデザイン,デザイン思考を学問の視点でとらえ,実証研究をベースに,技術から人・社会に至るまでの幅広い階層で,研究・教育・実践に取り組んでいます.また,2017年度後期からはプレイフルな学びを大学教員としての教育で実践すべく努力し,以前にも増して大学教育に熱意を燃やしています.2019年度はジェンダーの研究にも取り組んでいます.2022年からはリアルな地球環境での生活とサイバーなメタバースでの生活を両立させた「地球環境に負荷をかけないWeb3のSocial Design」に力を入れています.
趣味は走ることで,10年ほど前は,100㎞のウルトラマラソンや制限時間24時間のトレイルランニングのレースも完走しています.
2022年度3年生(なべゼミ19期生)がゼミの内容を紹介したSNSを作ってくれたので是非購読してください.
3年次演習前期に,ゼミ生同士でペアになってインタビューし,「なべゼミに求める価値」をモデル化しています.その成果の一つがゼミ生のモデル化です.ゼミ生はこんな人だよというのを,なべゼミ生がゼミの勉強に抱いている価値とゼミ生のペルソナ(モデル像)としてお見せします.
なべゼミのこれまでの主な卒論の概要を紹介します.卒論の一部は学会発表しています.特許取得に結びついた卒論もあります.優秀な卒論は専攻の会議資料室でも公開しています.
Resarchmapで公開しています:
代表的なものを紹介する.